黒澤吉徳について
■ 学校合唱に深く根付いた作曲家
黒澤吉徳は、1945年東京都生まれの作曲家です。東京藝術大学大学院作曲科を修了し、クラシックの作曲法を基盤に、管弦楽、吹奏楽、合唱、学校教育向け作品を幅広く手掛けました。第45回日本音楽コンクール作曲部門で第2位を受賞し、作曲家として評価を得ています。
特に広く知られているのは、中学校・高校の合唱教材として歌われてきた作品です。「空駆ける天馬」「大空賛歌」「走る川」「消えた八月」「自然よ」「そこに風がいる」「実りへの決意」「海・海を求めて」など、多数の曲が教科書、合唱曲集、コンクールで扱われました。
■ 「空駆ける天馬」の疾走感
「空駆ける天馬」は、館蓬莱の詩へ作曲した混声三部合唱曲です。空を走る天馬の姿を、上昇する旋律、力強いリズム、各声部の重なりで表現します。中学生でも取り組める構成でありながら、サビでは全員の声が大きく広がり、合唱の楽しさを実感しやすい作品です。
「走る川」では、水の流れを細かなリズムと声部の受け渡しで描きます。静かな源流から激しい流れへ変化し、最後に大きな川となる構成は、合唱団の強弱と一体感を育てる教材としても優れています。
■ 戦争と記憶を扱う「消えた八月」
「消えた八月」は、栄谷温子の詩に作曲した合唱曲です。広島・長崎の原爆、焼けた街、失われた命を扱い、夏の明るさと戦争の記憶を対比させます。感情を過剰に煽るのではなく、言葉を明瞭に聞かせる旋律と、静かな不安を残す和声によって、平和教育の場でも歌われてきました。
1984年度NHK全国学校音楽コンクール高等学校の部課題曲「君は夕焼けを見たか」も代表作です。混声、男声、女声の各編成があり、学校・一般合唱団の双方で演奏されています。
黒澤の作風は、極端な前衛性より、日本語の抑揚と詩の情景を重視します。旋律は歌いやすく、ピアノ伴奏は風、川、空、光などを具体的に想像させます。一方で、声部の独立やダイナミクスには十分な難しさがあり、合唱団の成長を促す設計です。
カラオケや独唱として歌う場合、原曲が複数声部の合唱を前提としているため、主旋律だけでは和声の魅力が減ります。複数人で各パートを分け、言葉の子音、母音、強弱を揃えることが重要です。黒澤吉徳は、学校で歌う合唱曲を通じて、多くの人に“自分の声が他者と重なる経験”を与えた作曲家です。
黒澤吉徳の楽曲情報
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- DECO*27 59曲
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