VY2V3について
■ キャラクターを固定しないヤマハ純正の男性VOCALOID
VY2V3は、ヤマハが2012年10月19日に発売したVOCALOID3用の男性歌声ライブラリです。2011年発売のVOCALOID2「VY2」をVOCALOID3向けに再録・拡張した後継製品で、VY2と同じ歌声提供者を起用しています。製品名の「VY」は「VOCALOID YAMAHA」を示し、特定のアニメ風キャラクターや詳細な人物設定を前面に出さず、歌声そのものを制作素材として提供する「VYシリーズ」の一つです。
パッケージの象徴には、VY2から引き続き刀の意匠が用いられました。VY2の刀「勇馬」のイメージから発展し、VY2V3ではなぎみそが近未来的なキービジュアルをデザインしています。ただし、刀は公式な人型キャラクターそのものではありません。ファン作品では「勇馬」などの呼称で青年の姿に擬人化されることがありますが、公式が年齢、身長、性格を定めたVOCALOIDキャラクターとは位置付けが異なります。
■ 通常声とファルセットを一製品に収録
VY2V3の重要な技術的特徴は、「VY2V3」と「VY2V3 Falsetto」という二つの男性声ライブラリを同梱したことです。通常ライブラリは、VY2の太く張りのある声質を保ちながら、VOCALOID3用の追加録音によって発音の明瞭さとつながりを改善しています。Falsettoは裏声表現に特化し、高音で力を抜いた響きや、通常声から裏声へ移るフレーズを作るために用意されました。
VOCALOID3のライブラリ切り替え機能を使うことで、低音と中音は通常声、サビの高音や弱い語尾はFalsettoというように使い分けられます。男性VOCALOIDでは、高音を通常ライブラリだけで歌わせると張り上げた音になりやすいため、ファルセット専用音源の同梱は表現の幅を広げる設計でした。2013年にはVY2V3 SEとして再展開され、VOCALOID3 Editor SEやジョブプラグインを含む製品構成も用意されました。
■ ボカロ曲での使用例と文化的位置付け
VY2は、キャラクター設定に依存せず男性ボーカルを必要とする制作者に選ばれ、VY2V3ではその用途がさらに広がりました。ヤマハ公式デモでは、シグナルPの「サンドリヨン」をVY2V3で歌わせ、通常声とファルセットを含む表現力が示されています。代表的なVY2使用曲としては、家の裏でマンボウが死んでるPによる「粘着系男子の15年ネチネチ」、EZFGによるVY1とのデュエット曲「とても痛い痛がりたい」などが知られ、物語性の強い曲、緊張感のある電子音楽、男女または異なる声質の掛け合いで存在感を示しました。
キャラクターを強く固定しない方針は、発売当時のVOCALOID市場では特徴的でした。初音ミク、KAITO、神威がくぽなどはビジュアルと人物像を含めて二次創作が広がりましたが、VY2V3は制作者が曲ごとに歌い手像を設定しやすく、和風、ロック、バラード、物語曲、BL的な二次創作まで異なる解釈が共存しました。海外のVOCALOIDファンにも、癖が比較的少ない日本語男性音源として認識され、英語圏のカバー制作者による日本語曲や多言語的な調声にも使用されています。
■ 声質と調声上の特徴
通常声は、若い男性の中音域を中心に、真っすぐで硬質な芯を持ちます。低音では落ち着きが出ますが、極端に下げると母音がこもりやすく、高音では力強さが増す一方、子音が鋭く聞こえることがあります。Falsettoは通常声より軽く息を含み、高音の負荷を下げる役割を持ちますが、切り替え位置が不自然だと別人のように聞こえるため、音量、ブライトネス、ジェンダーファクターなどを調整してつなぐ必要があります。
速い曲では子音が明瞭なため言葉を立てやすく、長い音ではビブラートやダイナミクスの設定が仕上がりを大きく左右します。VY2V3使用曲を人間がカラオケで歌う場合、合成音声は通常声とファルセットを瞬時に切り替えられるため、原曲通りの高音移行は難所になりやすいです。男性は地声で押し続けず、VY2V3 Falsettoが担当している箇所を自分の裏声へ置き換えることが重要です。女性が歌う場合は原曲キーが中低域に寄ることがあり、少しキーを上げた方が声の芯を保ちやすい曲もあります。
VY2V3の楽曲情報
VY2V3に関連する楽曲情報をまとめたページです。このページでは、VY2V3がカバーしている曲や、原曲として関わっている曲を確認できます。曲ごとのキー差を見比べることで、どのような高さで歌われていることが多いかを考える参考として使いやすいページです。
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